カヒコと呼ばれるハワイの古典フラがある。ハワイと日本はよく似ていると聞いたことがあるかもしれない。カヒコを知って、なるほどそういうわけかと納得したことがたくさんある。中でも一番は、ハワイの人々の信仰が日本と同じく自然信仰であり、私たち日本人が八百万の神を祀ることに通じるところだと思う。
建設業において信仰は切っても切れないものだ。私が建設業に入った頃、社で行く新年の成田山参拝には、女は穢れるからと一度も連れて行ったもらったことがない。毎朝会社の神棚に挨拶をし、地鎮祭は当たり前、工事で古井戸など出ようものならその時点で作業はストップ、神主さんの奉祀がないと職人さんたちは一切動いてくれない、そんな環境にいる私が自然信仰に根ざすフラに傾倒するのは自然な流れであったように感じる。
私が師事している先生の教えは、たくさんあるフラの流派でもハワイ島のフラだ。ハワイ島のフラのシンボルはペレと呼ばれる火山の神様で、破壊と再生が主なテーマになっている。ペレがその地を焼き尽くしたあと、ヒイアカと呼ばれるペレの妹が再生を担う、まさに私が従事している仕事そのものではないか。こちらは人為的ではあるものの、古い物から新しい物への刷新を担っていることに違いはなく、時には自身がペレになったかのように錯覚する。
私が敬愛するハワイの人たちの教えが2つある。ひとつは、先に述べたペレの破壊すなわち噴火に対し、ハワイの人たちは自身の家が焼けて消滅しても嘆くでもなく恨むでもなく、ああ、ペレが仕事をしただけなのだと納得すると聞いたこと。自然界においての人間の立場や役割をこんなにもわかりやすく解いてくれる先人の教えはあっただろうか。
もうひとつは、昔、アメリカ統治前のハワイでは山からの恩恵を受けるのに、強い者から先に欲しい物を取っていくのではなく、山頂から裾野までを円錐に見立て、表面を三角形に切ってそれぞれに偏りや過不足が出ないように自然の恵みを分け合ったそうだ。これも私が望む強者も弱者も同じように自然界に存在してよいのだという教えである。